収蔵作品の感想。『バットマン;イヤーワン』

2014-06-21

店主です。

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「みるみるわかるバットマン」に向けて、バットマン作品を色々と読んでいます。傑作との呼び声高い『バットマン;イヤーワン/イヤーツー』のうち、『イヤーワン』の感想を。「テメー、アメコミカフェやってんのにまだ読んでなかったのかよ?」と思われる方もいらっしゃると思いますがご容赦ください。

お話は。同僚を汚職の罪で告発したことにより、ゴッサム・シティに左遷されたジェームズ・ゴードン警部補は、身重の妻とともに街へやってきた。ちょうどその頃、ゴッサム・シティの名家ウェイン家の子息、ブルース・ウェインが12年の外遊から帰国する。ブルースは自らの手でゴッサム・シティから犯罪を撲滅するため、服装を変え、肌の色を変え、顔に特殊メイクを施し自警活動を始めるものの、犯罪者たちは彼を恐れず、街を浄化する第一歩すら完遂できないまま満身創痍で屋敷に辿り着く。ブルースは屋敷に飛び込んできたコウモリに着想を得、犯罪者に恐怖を植えつけるため、コウモリの化身として犯罪者と戦うことを決意する…というもの。

ストーリーを担当したのは、『バットマン;ダークナイト・リターンズ』のフランク・ミラーです。『リターンズ』では年老いたブルース・ウェインのバットマンとしての帰還を描きましたが、一転して、本作ではバットマンのオリジン(誕生譚)を描きます。

本作はそのタイトルの示す通り、ブルース・ウェインがいかにしてバットマンになったかを描く物語です。本作でバットマンはゴードン警部補(後のゴードン本部長)と出会い、協力しあうようになります。ジョーカーやトゥー・フェイス等の派手なヴィラン(悪党)は出てきませんけども、ブルース・ウェインとゴードン警部補のストーリーが細やかに語られます。

物語の舞台のゴッサム・シティの治安は最悪です。ギャングが跋扈し、街で強盗ひったくりの被害に遭うのは当たり前、警官はギャングからカネをもらい犯罪を見逃しているのです。自警活動をして治安の向上に貢献するバットマンでしたが、法の執行者でないという理由で警察に追われる身となります。この辺りは映画『バットマン;ダークナイト』とオーバーラップしますね。

犯罪と闘いながら警察内の腐敗を根絶しようとするゴードン警部でしたが、あまりの犯罪件数の多さと汚職の酷さからか、身重の妻がありながら同僚の女性刑事と親密になってしまいます。そして、警察内部の汚職警官の一派からそこにつけ込まれ、生まれたばかりの子をマフィアに誘拐されてしまいます。ゴードン警部補は無事に子を奪還できたのか。結末は是非ご自身で確かめてみてください。

付録の解説によると、バットマンのオリジンとしては、これが決定版だとされているようで、確かに納得の出来栄えです。バットマンの誕生譚としてはもちろん、ゴードン本部長の誕生譚にもなっています。とにかく清廉潔白なイメージのあるゴードン本部長ですが、ダメなことだと理性では分かっているのに同僚の女性刑事と親しくなり、妻と一緒に寝ているベッドの上で罪悪感に苛まれる描写(チャプター3の最終ページ)に胸が苦しくなります。

「バットマンってなんでバットマンになったの?」というあなたの疑問にちゃんと答えてくれる名作です。当店にいらっしゃった際には是非手に取って読んでみてください。


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