‘個人的に読んだ本の感想’

本の感想;その2『老人と犬』(ジャック・ケッチャム)

2014-02-20

こんにちは。店主です。昔mixiに書いた日記から。

買ったはいいが放置されていた本を読み始めてます。本作を買った理由は、今一部で(って本当に一部だけどね)話題になっている『隣の家の少女』のことが「映画秘宝」に載っていて、そんでビレッジバンガードというサブカル本屋で、中原昌也さんが本作の解説を書いているのを見つけたからです。

別に買うのは『隣の~』でも良かったんですけど、何となくこっちにしたのでした。

お話は。雑貨店を経営する老人は、妻を亡くしてから、老犬と一緒に暮らしていた。ある日、老人は犬と一緒に釣りに出かけ、そこでショットガンを持った3人組の少年に遭う。少年達は老人から金を脅し取ろうと思ったが、老人がはした金しか持っていないと判るといきなり銃を犬に向けて発砲し、頭を吹き飛ばした。茫然とする老人。笑いながらその場を去っていった少年達に、老人は「然るべき裁き」を求めて動き出し・・・というもの。

理由なき暴力を扱っているという点で、コーマック・マッカーシーの『血と暴力の国』と似ていると思います。でも、中原昌也さんが解説で言うように、本作にはその、何と言うか「文学性」みたいなものは希薄です。それは、カバー折り込みに「スティーブン・キングが絶賛した」というような意味のことが書いてあったのを見てから読んだせいなのかもしれませんが、うーん、でも見てなくても『血と~』に比べて文学してないとは思ったんじゃないでしょうか。

解説を読むに、ジャック・ケッチャムという作家は、いやーな話を書かせたらちょっとしたものである、という評価を得ているようです。本作は、確かにいやーな話なんではあるが、一応まあめでたしめでたしと言えなくはない結末で、個人的には安堵しました。

私、大学生の時分は、「どうしようもない結末の話が好きなおれって何かカッコいい」という(そういう考えをしているおまえはどうしようもないなと今は思う)考えをもっていたので、「やっぱり『蠅の王』はいいよね」とか「『異邦人』も好きだ」などと言ってました。さぞ鬱陶しかったことでしょう。

どう考えても読んですっきりするのは『十五少年漂流記』で、『蠅の王』はそういう類のものではないんですよ(因みに、『蠅~』は『十五~』のパロディとしての側面がある小説なのです)。

そして、私のような一般人が読んで(又は観て)面白いと感じるのはベタながらも『十五~』のようなものだと思います。

本の感想;その1『ドラッグはいかに世界を変えたか』(デヴィット・T・コートライト)

2014-02-09

昔読んだ本の感想から。

ドラッグはいかに

中島らもさんの『アマニタ・パンセリナ』読んで薄々感じていたことですが、この本を読んで、世界は依存性物質に溢れているということがよく分かりました。カフェインやチョコレートみたいな比較的害がないものからアルコール、タバコ、アヘン、大麻類、コカ、コカイン、キンマ、ペヨーテ、カート、モルヒネ、ヘロイン、アンフェタミン、LSD・・・。

著者は一つの仮説として、アンドルー・ワイルって人の主張した「人間はみな通常の意識を変えたいという内的な衝動を持っている」という説を引いて、酩酊物質の摂取が基本的な欲求を満足させるとしています。そして、その衝動の強さは社会的な状況が大きく関係するのだそうで。

退屈してみじめな動物は、何かに満足しているものより意識の変化を求める可能性が高く、例えば囚われた動物は野生のものより酩酊物質を使う可能性がはるかに高いとのこと。

更に、体に及ぼす害は両者ともにあまり差がないにも拘らずアルコールやタバコは合法なのにマリファナが違法なのは、西洋社会の支配階級に愛されたかそうでないかだけだとも。確かにマリファナってのは60年代にヒッピー達のカウンターカルチャーの象徴みたいなもんで、それはある種の反権力的なイメージを喚起させますよね。

で、一番びっくりしたのは。酩酊物質の類の製造は環境破壊の大きな原因なんですって。アンデス地方じゃ1ヘクタール分のコカをペーストにするとなんと2トンもの廃棄物がでる。葉を柔らかくして洗浄する時に使うガソリン、硫酸、アンモニア、炭酸ナトリウム、石灰など。それらは丸ごと空き地に捨てられたり川に流されたりすると。

正直な話、世界のどこで誰がどんだけジャンキーになろうと別にどうってことはありませんが、そういうことはやめてほしい。環境に過大な負荷をかけるのは、別に違法なドラッグだけではなく、タバコやコーヒーも随分土地を疲弊させるということです。

最近はフェアトレード製品とか言って大々的に売り出しているコーヒーとかもあるものの、それとは別の側面でこういう嗜好品ってのは何かと問題を発生させているんですね。この本にも書いてあったけど、今プランテーションに使われてる土地を全部食糧用の栽培地に充てたら、食糧問題ってのは随分改善されると。

身体に害がないからといって、コーヒーをガバガバ飲むってのもあんまりよくないような気がします。でも好き。

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