アメコミ映画の名作ランキング

【参考】
Pen+(ペン・プラス) DC最強読本。

順位 作品 説明
「スーパーマン」
(1978年)

原作:DCコミックス
アメコミ映画の歴史は、本作以前と以後に分かれると言っても過言ではない。「アメコミ映画=子供向けの安っぽいB級映画」という当時の常識を覆し、巨額の製作費とマーロン・ブランドら名優を投入して作られた、史上初の本格的スーパーヒーロー映画である。

最大の発明は、「スーパーマンが空を飛ぶ」という荒唐無稽な描写を、当時の特撮技術でリアリティある映像として具現化したことだ。観客は初めてスクリーンの中でヒーローが実在すると信じることができた。

また、ジョン・ウィリアムズによる英雄的なテーマ曲と、クリストファー・リーヴの誠実な演技は、キャラクターの決定的なイメージを確立した。

本作が商業的・批評的に大成功を収めたことで、コミック原作がハリウッドのメジャーなジャンルになり得るという道が切り拓かれた。今日のアメコミ映画ブームの全ての源流にある金字塔である。
「ダークナイト」
(2008年)
クリストファー・ノーラン監督による「ダークナイト・トリロジー」の2作目にして、ヒーロー映画の枠を超えたクライム・サスペンスの傑作。

特筆すべきはヒース・レジャー演じる悪役ジョーカーの圧倒的な存在感である。混沌そのものを体現した彼の演技は、死後にアカデミー助演男優賞をもたらした。コミック原作映画の俳優がオスカーを受賞するのは史上初の快挙だった。

本作がアカデミー作品賞にノミネートされなかったことは大きな物議を醸し、翌年から同賞のノミネート枠が拡大されるきっかけともなった。興行的にも批評的にも、ジャンルの到達点を示す一本である。
「スパイダーマン」
(2002年)
サム・ライミ監督による3部作の第1弾。21世紀初頭におけるアメコミ映画ブームの直接的な火付け役となった作品である。

CGI技術の進化により、スパイダーマンがニューヨークの摩天楼をウェブ(蜘蛛の糸)でスイングする躍動感が、ついに映像として完成された。トビー・マグワイア演じるピーター・パーカーの「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という葛藤は、多くの観客の共感を呼んだ。

9.11テロ直後のアメリカにおいて、庶民的なヒーローが人々を守る姿は社会現象的なヒットを記録した。
「アベンジャーズ/エンドゲーム」
(2019年)
2008年の『アイアンマン』から始まったマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)、その「インフィニティ・サーガ」22作品の集大成にして完結編。

過去10年以上にわたって積み上げられてきた物語とキャラクターの感情が爆発し、世界中のファンが熱狂した。映画史上類を見ない規模のクロスオーバーであり、興行収入でも『アバター』と競る歴史的記録を打ち立てた。

単体の映画として見るにはハードルが高いが、シリーズを追いかけてきた観客にとっては、これ以上ない感動的なフィナーレとして機能している。
「バットマン」
(1989年)
当時30歳の鬼才ティム・バートンが監督に抜擢され、社会現象(バットマン・シンドローム)を巻き起こしたヒット作。

それまでの「アメコミ=明るく子供向け」というイメージを一新し、ゴシック調の美術とダニー・エルフマンの音楽で、暗く幻想的な「ゴッサム・シティ」を作り上げた。

名優ジャック・ニコルソンが演じたジョーカーの怪演は伝説的であり、主役のマイケル・キートンを食うほどのインパクトを残した。黒を基調としたスタイリッシュな映像美は、その後のヒーロー映画のビジュアルに多大な影響を与えた。
「スーパーマン2」
(1980年)
前作と同時進行で撮影されていたが、監督交代劇などのトラブルに見舞われた末に完成した続編。しかし、その出来栄えは前作に劣らぬ傑作として愛されている。

クリプトン星から追放されたゾッド将軍ら3人の悪役が登場し、スーパーマンと同等の能力を持つ敵との肉弾戦が描かれる。

また、愛するロイス・レインのためにスーパーマンとしての力を捨てるクラーク・ケントの苦悩と決断がドラマの核となっており、人間味あふれるストーリーが高い評価を得た。
「アイアンマン」
(2008年)
巨大な映画帝国となる「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」の記念すべき第1作。

当時、薬物問題などでキャリアが低迷していたロバート・ダウニー・Jrを見事に復活させた作品でもある。彼の演じるトニー・スタークの、軽妙で人間臭いキャラクターは映画のトーンを決定づけた。

「私がアイアンマンだ」というラストシーンや、エンドロール後のニック・フューリーの登場など、その後のユニバース化の基礎を築いた点でも重要度は計り知れない。
「スパイダーマン:スパイダーバース」
(2018年)
アニメーション映画の映像表現に革命を起こした傑作。CGアニメに手描きのコミックの質感を融合させた斬新なビジュアルスタイルは、観客の度肝を抜いた。

異なる次元のスパイダーマンたちが一堂に会する「マルチバース」の設定を巧みに扱い、新主人公マイルズ・モラレスの成長譚として美しくまとめている。

アカデミー長編アニメ映画賞を受賞。「誰でもマスクを被ることができる(誰でもヒーローになれる)」というメッセージは深く、実写版を含めても最高のスパイダーマン映画に推す声は多い。
「ブラックパンサー」
(2018年)
アメコミ映画として史上初めてアカデミー作品賞にノミネートされるという歴史的快挙を成し遂げた作品。

監督のライアン・クーグラーをはじめ、主要キャストや制作陣にアフリカ系の人材を起用。アフリカの伝統文化と超未来的なテクノロジーを融合させた架空の国「ワカンダ」の世界観は圧巻で、美術賞や衣装デザイン賞を受賞した。

単なるヒーロー映画に留まらず、黒人のアイデンティティや植民地主義への問いかけを含んだ重厚なテーマ性は、社会現象となるほどの文化的インパクトを与えた。
10 「バットマン ビギンズ」
(2005年)
クリストファー・ノーラン監督による「ダークナイト」トリロジーの第1作。前シリーズの不評で停滞していたバットマンを、徹底したリアリズムで再構築した。

「なぜ人は落ちるのか?這い上がるためだ」というテーマのもと、両親を殺されたブルース・ウェインがいかにして恐怖を克服し、バットマンになったのかを丹念に描く。

特殊装備やバットモービルも軍事技術の転用として説明されるなど、現実世界にヒーローが存在したらどうなるかというアプローチが貫かれている。渡辺謙が悪役ラーズ・アル・グールの影武者として出演したことも話題となった。
11 「ジョーカー」
(2019年)
バットマンの宿敵ジョーカーの誕生を、アメコミ映画としては異例の、社会派ドラマのようなタッチで描いた問題作。ヴェネツィア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞し、映画界に衝撃を与えた。

特殊能力も派手なアクションもない。ある孤独で心優しい男が、冷淡な社会に踏みにじられ、狂気のカリスマへと変貌していく様を、ホアキン・フェニックスが鬼気迫る演技で表現し、アカデミー主演男優賞を受賞した。

格差社会への不満を内包した内容は、現実世界での暴動を誘発しかねないと懸念されるほど、強烈な説得力を持っていた。
12 「スパイダーマン2」
(2004年)
サム・ライミ版3部作の第2作。「続編は駄作になる」というジンクスを打ち破り、前作を超える最高傑作との呼び声も高い。

ヒーローとしての活動が私生活を圧迫し、能力を失いかけるピーター・パーカーの苦悩が見どころ。アルフレッド・モリーナ演じるドクター・オクトパスは、悲劇的な背景を持つヴィランとして深みを与えた。

暴走する地下鉄を身を挺して止めるシーンは、スパイダーマン映画屈指の名場面として語り継がれている。アクションと人間ドラマのバランスが完璧な一本。
13 「バットマン/マスク・オブ・ファンタズム」
(1993年)
高い評価を得ていたTVアニメシリーズ『バットマン・アニメイテッド』の劇場版。実写作品を含めても、バットマン映画のベストの1つに挙げるファンは多い。

1940年代のノワール映画のような独特の雰囲気の中で、ブルース・ウェインの過去の悲恋と、新たな怪人ファンタズムの謎が交差する。

マーク・ハミルが声を演じるジョーカーの狂気も健在。興行収入こそ振るわなかったが、その脚本の完成度と悲劇的な美しさから、カルト的な人気を誇る隠れた名作である。
14 「ワンダーウーマン」
(2017年)
長らく男性中心だったアメコミ映画界において、女性スーパーヒーロー単独主役の映画がついに批評的・興行的ともに大成功を収めた記念碑的作品。

特に中盤、膠着した第一次世界大戦の塹壕からワンダーウーマンが一人で飛び出し、敵の砲火を一身に受けて進む「No Man's Land(無人地帯)」のシーンは圧巻である。それは単なるアクションではなく、彼女の「平和への義憤」と「慈愛」が可視化された、映画史に残る名シーンとして絶賛された。

主演ガル・ガドットの強さと美しさを兼ね備えたカリスマ性は、それまで暗いトーンが続いていたDC映画に希望の光をもたらした。
15 「ローガン」
(2017年)
ヒュー・ジャックマンが17年にわたり演じ続けたウルヴァリン(ローガン)の最後を飾る作品。

従来のヒーロー映画とは一線を画し、西部劇『シェーン』を意識した枯れた味わいのロードムービーとなっている。R指定を受けたことで、ウルヴァリンの爪による本来の残酷なアクション描写が可能となり、同時に老いや死という重いテーマに正面から向き合った。

老衰したプロフェッサーX(パトリック・スチュワート)との擬似親子のような関係性も涙を誘う。アメコミ映画というジャンルを成熟させた、大人のための感動作である。
16 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」
(2014年)
公開前、原作の知名度は皆無に等しく、「マーベル初の失敗作になる」と囁かれていた。しかし蓋を開ければ、世界中で大旋風を巻き起こした革命的な一作となった。

最大の特徴は、宇宙を舞台にしたSF冒険活劇でありながら、70年代のヒットソング(「ウガ・チャカ」など)を劇中で大々的に使用した演出である。懐かしい音楽と未来的な映像のミスマッチが、独特のグルーヴ感を生み出した。

犯罪歴のあるアライグマや喋る木など、クセの強い「負け犬」たちが、喧嘩しながらもチームとなり、やがて「家族」の絆を結んでいく物語は、笑いと涙に溢れている。

監督ジェームズ・ガンの特異な作家性が爆発し、「有名なヒーローでなくても、面白ければ売れる」ことを証明した、愛すべきスペース・オペラである。